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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

そのなかでも重要な事柄は、彼が恵林寺にしのんで直接、耳ぶくろに入れて来た甲軍の出兵に関する機密だった。

「……ふーム」

信長はうめいた。こうしていても背後の不安はもちろんある。去年の叡山攻めの時からくらべて、その危険と不安は、すこしも良好になってはいない。むしろ、武田家との関係も、長嶋方面の状態も、悪くなっている。

ただ、去年の陣には、叡山のうえに、浅井、朝倉の大軍がのぼって協力していたが、こんどはその遑を敵に与えなかったので、当面の勢力はさして厖大ではない。ただ背後の危険が常にあるのみである。

「叡山へも、はやこのことは、武田家から早打ちされておるであろう。……坊主どもは、またしても、信長がいそいで軍を返すものと楽観しておるにちがいない」

彼は、天蔵の労をねぎらって、丘の下へ退らせた。

「これも天の御加勢だの」

藤吉郎や夕菴をかえりみて、信長は会心の笑みをうかべた。

「甲山をこえて、尾濃へ迫る武田勢が早いか、叡山を粉砕して京、摂津を席巻して還る織田勢が早いか、われらに、競いと励みを与え、なお必死の信念を加えてくれるようなもの。……各※(二の字点、1-2-22)もはや部署につけ。