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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
かれらの意気は、信玄の上洛をくいとめるにある。
「西へ通すな」
と、するのである。
それは同盟国の織田家のためにではない。甲州と三遠とは、宿命的に隣接している。武田勢に突きやぶられたら、徳川家の存立はあり得ないからである。
その家康は、ことし三十の男ざかりである。その家中の三河武士は、貧乏と体面と、あらゆる困苦欠乏をここ二十年来もしのんで来た者どもである。ようやく成人した主君をいただいて、信長と隣交をむすぶ一方、今川家の領をすこしずつ蚕食して、
「これからだ!」
と、老臣も若い臣も、その家族たちも、百姓町人も、草も木も、立ちあがって奮い立っているというような、興隆の希望と進出の勇気にみちみちている領土なのである。
「信玄何者ぞ」
であった。――その装備、物資においては、もとより彼には及ばない若い国であったが、意気においては、すこしも劣る気はもっていない。
その三河武士が、信玄をさして「足長、足長」とあだ名しているのは、どういうわけかというと、かつて信長から主人に来た書状のなかに、そういう警句が書いてあったのを、家康が見て、
「うまいことをいわれるものだ」