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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

御苦労ながら御案内ねがいたい」

「御姓名は」

「木下藤吉郎の家中、竹中半兵衛重治、妹のゆう」

と、明晰にいった。

ここらを見張っていた一小隊の兵たちは、そう聞くと、顔を見合わせた。また、於ゆうの清麗な姿を見まもった。

若い女性を連れているし、平服である。仔細はあるまいと、一部の兵が先に立った。――もう長亭軒の城はすぐ近いのである。

祖父谷、平井山、松尾の三山のふところになっている。城砦の規模は小さいが天嶮である。

城門をそこに見ると、

「御大儀」

と、送ってくれた兵たちに礼をいって、半兵衛は、まず先に城門をたたいた。

「――城内の方へ物申す。それがしどもは、御城代樋口殿と、年来親しい間がらの者でござる。幾度となく、訪れ申せど、遂に、一度のお会いも得ず、諦めかねて、こよいまた、余りの月のよさに、ついつい思わずまたこれまで、訪れてござる。――恐れ入るが、お取次ぎねがいたい」

大声でなければ届かない。頑丈な鉄扉は、いくら呶鳴っていても答えがないので、半兵衛は、長々とそういった。

それでも――

ややしばらくは、何の返辞もなかった。半兵衛はまた、同じような意味のことばを繰り返した。