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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

――これは何事か。

と、詰問的に責めているのを第一条として、そのほか十六条にわたって、義昭の不信、悪政、陰謀、公事訴訟の依怙から、金銀の横領などにわたる私的行為の不徳までを、綿々、烈々、辞句にかざりもなく認めて突きつけた弾劾文であったのである。

それに対して、

「僭越だ」

義昭は充分に怒った。

「――自分は将軍である」

落魄流寓時代のひがみもある。信長に庇護されて二条に立ったという、日ごろの気がねも勃然と反撥する。――怯者の怒りは、時によると、盲目的に、すて鉢をあらわすものである。

「たれが、信長ごとき、一地方の領主に、屈しようぞ。義昭から彼にたいして、服従をちかう理由はない」

諫書は、ふるえる手から、一擲されて、かえりみられなかった。

信長のほうから、朝山日乗、島田所之助、村井長門守などが、こもごも和談のあつかいに来たが、退けて会わなかった。

そして、その返辞のように、堅田や石山方面の――京にはいる通路へ木戸や防寨を築いていたものである。

信長が待っていた「時」も、藤吉郎が計っていた「時」も、そこを押し通って、義昭に十七ヵ条の返答を面詰する適当な時節であった。