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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
(浅井の息子には将来がある)
信長はこう観た。
彼の武勇を見こんだのである。
で――妹をと、お市の方の縁談は、彼のほうから熱心に浅井家を説いて、成り立ったものだった。
しかし、その結婚には、初めから、無理があった。
なぜならば、越前の朝倉家と浅井家の親密は、三代にもわたっている。単に、攻守同盟というだけではない、旧恩の関係もある、そのほか複雑な交誼も入りくんでいて、断るに断れない間がらである。
ところが、その朝倉と織田は、年来の敵国だ。
信長が、岐阜の斎藤を攻略するにあたって、いかに邪魔したか、いかに斎藤方を援けたか。それだけでも、双方の感情はわかる。
(いや、そのことなら、何の御憂慮にも及ばぬ。信長が一札入れ申せばよろしかろう)
と、縁組の妨げに対して、信長は信長らしい解決を計った。
朝倉家へ一札、誓紙を入れたのである。ゆく末とも、朝倉領には兵を入れぬという約定だった。
朝倉義景は、それをとって置いて、ひそかに長政の父久政へも、彼へも、
(ゆめ、お心をゆるし給うな)
と、警戒を与え、つねに信長の野心と行動を、裏面から報じた。
若い長政は、新婚早々から、何も知らぬあどけない妻を、強いてそう見るべく、父からも、旧恩のある朝倉家からも、のべつ励まされていたのである。