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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

……母のそばにいやるからには」

と、ささやいていた。

長政のゆるしを得た藤吉郎が、起って、満座の中ほどへ、つつつつと進み出し、小舞を舞おうとした時だった。

万寿と、茶々が、

「あれッ」

と、母の膝に、しがみついた。――昼の怖い小父さんの顔を、真正面に見たからである。

藤吉郎は、足拍子をひとつ、とんと踏んだ。とたんに手からさッと日の丸扇子が咲くと、

あまりの、徒然に

あまりの、つれづれに

門に瓢箪つるして

ながめ候えば

折ふし、そよ風の来て

あなたへ、ひょこり

こなたへ、ふらり

ひょこり、ふらり

ふらり、ひょこり

瓢箪つるして面白やの――

声も大きく、小舞歌をうたって、他念なく舞い出した。

だが。その舞も終らぬうち。

ド、ド、ド、ドッと、城壁の一劃で、つるべ撃ちに銃砲が鳴った。パチ、パチと旺んに応射し出したのは近くの音である。城内と城外と、彼我一瞬に銃火を交わし始めたらしい。

「――しまった!」

藤吉郎は、扇子を投げすてた。

亥の刻にはまだ至っていない。

けれど、それは城外の味方は知らないことである。

藤吉郎は、自分が二度目のあいずをしない限りは、総攻撃にはかかるまいと、多分に安心していたのであるが――ついに味方の帷幕にあっては、諸将みなしびれをきらして、信長に、その悠長をなじり、また即座の行動を迫って、とうとう総がかりに出てしまっ