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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

だから四十面をさげながら小姓組の於虎や於市などからも、臆病者臆病者と、のべつ揶揄されているふうなので、秀吉はつねに不愍に思い、庭から引き上げて、余り人に接しないでよい湯殿番に召使っていたのであった。

「お呼びでしたか」

「於福か。着物、着物」

「いま、お剃刀を調えておりますが」

「顔か……。いや、上がってから剃ろう。はやく衣服をよこせ」

「もうお上がりで」

於福はくるくる舞いして運んでゆく。生来が好人物のほうなのである。あわてて秀吉のうしろへ廻って、背なかを拭き、足を拭き、爪先まで拭いて、杉戸をひらき、その傍らにうずくまる。

「やあ、明け放れたな。天気は快いぞ」

誰へいうともなく秀吉は大声でいいながら外へ出た。

小姓の虎之助と市松のふたりが、彼の佩刀をささげて、扉口のそとに畏まっていた。

「いま起きたのか」

「はッ。……ちと、寝坊いたしました」

「いや、けさは、わしが早かったのだ。髯を剃ろう、市松、鏡を立てい」

「はい」

広い居間のすみに、鏡台をすえかけると、秀吉はみずから場所をさしずして、もっと明るい窓の下に置けという。

そこの書院窓には、旭が紅く映していた。鏡をおくと鏡にもキラキラする。