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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
その時分を、この安土では、さながら盆と正月を、一度に迎えたような賑いで、全城全市、盛装していた。
何事ぞといえば。
この安土城に信長が一箇の大賓を迎えるためであった。
それほどな大賓とは、一体誰か。
もとよりかくれもない人ではあるが、今日信長からこれほどな礼遇をうける人として、あらためてその人を想念にのぼすときは、世のなかも革まって来たが、人も進み時代の先駆もみな、ようやく大人になって来たものだという感がなきを得ない。
すなわち、五月十五日、府に着いて、安土の城へはいったその大賓とは、徳川家康、ことし四十一になる人だった。
表面の称えは、
「十三年ぶりに上方見物を」
というにあったが、信長が甲州凱旋の道を東海道に選んで、多分に彼の好遇と歓待に甘えて帰った後、わずかまだ一ヵ月を出ないうちのことであるから、信長としては、その返礼の意味をふくめ、家康としては、さらにその効を大にすべく、また、ようやく革新統業の第二段階に入ったこの際に、将来の大策について怠るべきときでないとして、彼としては実にめずらしく、大がかりな行装と列伍をしたがえて、公式に訪れたものであった。