輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

釜の湯はよく練れてさっきよりはその沸りも和やかに聞かれる。左馬介の武勇は幾多の戦場でたれも目に見ているが、炉の前の人とは何か別人のような気がされるのであった。どこといってその武勇が姿の上にはあらわれていないからである。

「では、茶は参らせぬことにする。源右どの、政孝どの。折り入って、おはなしとは」

こう促されて、三名はややかたくなった顔を見合わせていたが、その中でも最も剛直な感情家らしい藤田伝五が、

「左馬介様。……無念です。おはなし申すにも、無、無念が、先に立って」

左の手を膝がしらから下へ辷らせると、われにもなく右の肱を曲げて涙の目をかくした。

と、共に、ほかの二人も眼をしばたたいた。伝五のように泣きはしなかったが、瞼はかくしようもなく赤らんだ。

「何事があったのか」

左馬介は却って冷静を示した。火を見るべく予期していたのが、水を見たように三名ははっとわれに回った。自分たちの瞼を見ながらこういう顔いろを先ず示すようでは、この人に共感を求めることも期待を持つのもむだに近い気がして来た。そしてこう行き過ぎた感情を顧みては、もう語ろうとする内容も自然内輪にならざるを得なかった。