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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
それは決して、光秀が欲している、言下の然諾を、巧く交わそうとしたのでもないし、また、彼の胸底を見ぬいていながら、わざと空とぼけたわけでもない。
彼にはまだ、未練があった。どうかしてこの人を、そんな暴挙と不徳の思い立ちから引き戻したいと希う――最後の望みを捨てきれなかったのである。
が、光秀のまなじりは、彼のそのことばによって、なおさらこめかみの青い筋と結ばるばかりになった。
「……お汝。それをわしに問うのか」
声も常ならずかすれがちに、
「安土退去このかた、光秀の胸に怏々として霽れやらぬものあることを、お汝としたことが、察してはいなかったのか。――左馬介」
「ほぼお察しはしていました」
「然らば何で……。何も、多言は要しまい。いやか、応かでよろしい。まずその返辞からさきに聞かせい」
「殿」
「…………」
「殿――」
「…………」
「あなた様こそ、何でお口を結ばれておられますか。かりそめにも、ここの御一言は、明智一族の浮沈にはとどまりますまい。事天下にかかわりましょう。あなた様とて、はっきりお答えください。殿!」
「なにか」
「どう遊ばしました。あなた様ともあるお方が……」