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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
あれは屈託がない。と、慕わしくさえなって来るのだった。
「長門」
「はっ」
「子息はどうした。見えぬのか」
「伴れ参りましたが、不束者、わざと控えさせておきました」
「つまらぬ遠慮をする」
信長はつぶやいた。今夜は息子も連れて来いといったのは、気軽に語るためだ。君臣の接見ではない。
が、呼べともいわず、
「はて、博多の客衆は、どうしたかの」
信忠と長門をそこへ置いたまま彼は立って奥へ入りかけた。
小姓部屋で坊丸の声がしていた。何か兄の蘭丸に叱言をいわれているらしかった。蘭丸兄弟は三名とも小姓組にいる。これはよく兄弟喧嘩の因となるらしい。すでに森三左衛門可成の子もみな成人したと今さら思い出されて来る。近頃それについて誰いうとなく、明智領の坂本四郡を父の遺領なるために蘭丸が欲しがっている、という風聞などがちらちら聞える。もってのほかなことだと、信長は今も思う。――しかしそういう世上の誤解をとくためにも、彼自身のためにも、いつまでも若衆めいた小姓姿をさせておいて近側に置くのはいけないことでもあると反省してみたりする。
「庭面をおひろい遊ばしますか」
ふと、縁に佇んでいたので、すぐその蘭丸が小姓部屋から走り出て、沓脱石に穿物をそろえた。