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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

(ここで防ぐか、斬って出るか?)

の信忠の命を持っていた。

いうまでもなく、明智の主力は、本能寺へそそがれている。妙覚寺の兵力は本能寺以上とは事前に知れているが、ここへ向けられたのは明智光忠の第二軍で、その兵数は、第一軍よりはるかに少ない。

(右府の御首を挙げれば、直ちに援軍を割ち得る。それまではただ信忠を遁さぬことを旨となせ)

光忠が光秀からうけた作戦はこうであった。必死の兵六百余人がいのちを振りかざして、一角の突破に邁進して来れば、その約四倍はある光忠の軍といえど、水も漏らさぬ包囲はなかなか保し難い。

で、明智方でも、ここの攻撃には、本能寺のような急襲猛突をとらなかったため、信忠以下は驚愕のうちにも、なお鎧具足に身をかため、前後の策を議するいとますらあった。

議といっても、この期に、区々な意見の出ようはずはない。

「本能寺へ」

「何よりは、信長公の御身を」

と、そこへ合流して、ひとつに守りを固めた上の思案と、信忠以下、全軍は即時に、ここを捨てて本能寺へ急ごうとしたのである。

だが、それほどに急いだようでも、事実においては遅すぎていた。――信長や信長の扈従の面々などは、具足をつけるいとまはおろか、太刀や槍を取る間もなく敵とまみえていたくらいだった。