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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
「それは、至極よい人物。ぜひこれへお召し寄せを」
「――おいッ。誰か来い」
秀吉は手をたたいた。
みな遠く退けて、近侍も小姓もいないので、手の音は容易にとどかない。雨音もそれを邪げている。秀吉は自分で起って、次の間まで歩み、戦場で出すような大声して、
「おういッ。たれかおらぬかッ」
と、陣小屋のうちへどなった。
あわただしく跫音が近づく。愕いたとみえ、それも四方からだった。秀吉は何か、二、三人にいいつけてから、厠へはいった。雨はいよいよ降りつのる。
吉田六郎太夫が来る。また、千原九右衛門もまかり出る。
「こちらでおひかえを」
小姓は、べつな広い部屋へ、ふたりを案内した。洞然として、そこは暗い。かなりたってから、燭台がところどころに配られた。
秀吉と官兵衛とは、なおさっきからの部屋で密談をつづけていた。――ほどなく、陣外からこの雨中を、蜂須賀彦右衛門が上がってくる。
さらに、浅野弥兵衛、木下備中守、生駒甚助、堀久太郎。また山内猪右衛門一豊などもよばれて同じ広間のほうへ通る。
ほどなく秀吉と官兵衛とは、相伴って、この席へあらわれた。ここへ臨むまでに、二人の間には、すでに基本の方針は一致していたこと勿論である。