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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
志を翻して、織田の軍門に降伏するならば、戦後、備中、備後の両国に多分の領地を宛て行わん。神明に誓って違背はない。そういう意味の墨付で、すなわち信長から高松城の守将、清水長左衛門宗治へあてて示すものであった。
「拝見いたしました」
「これを携え、すぐにも出立してくれ。彦右衛門、御身も副使として、官兵衛とともに高松城まで参るように。――そして清水宗治に会うた上は、官兵衛にぬかりはあるまいが、極力説いて、味方に降伏させるよう努めい。このお墨付を示さば、いかに彼とて、うごかぬことはあるまい」
至極、楽観的な顔していうのである。その秀吉の意中がふたりには酌みかねた。秀吉は心からこのお墨付一通で、敵の清水宗治の離反を実現できるものと信じているのだろうか、それとも、べつに意があるのであろうか――と。
「行け。すぐに」
秀吉はかさねて促す。
もとより異議をいっているところではない。黒田官兵衛も、蜂須賀彦右衛門も、
「かしこまりました」
直ちに座を立った。
起ちかける両名へ、秀吉はなおこう云い足した。
「ともあれ、城中の士気配備、よく見てまいるように。――そして供は大勢を連れぬがよい。