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めいあん
明暗
線上閱讀夏目 漱石《明暗(めいあん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,590 字 · 645 頁
「しかし来るかな」といった叔父の顔は、まさにお延の腹の中を物語っていた。
「近頃みんなおれの事を隠居隠居っていうが、あの男の隠居主義と来たら、遠い昔からの事で、とうていおれなどの及ぶところじゃないんだからな。ねえ、お延、藤井の叔父さんは飯を食いに来いったら、来るかい」
「そりゃどうだかあたしにゃ解らないわ」
叔母は婉曲に自己を表現した。
「おおかたいらっしゃらないでしょう」
「うん、なかなかおいそれとやって来そうもないね。じゃ止すか。――だがまあ試しにちょっと掛けてみるがいい」
お延は笑い出した。
「掛けてみるったって、あすこにゃ電話なんかありゃしないわ」
「じゃ仕方がない。使でもやるんだ」
手紙を書くのが面倒だったのか、時間が惜しかったのか、叔父はそう云ったなりさっさと庭口の方へ歩いて行った。叔母も「じゃあたしは御免蒙ってお先へお湯に入ろう」と云いながら立ち上った。
叔父の潔癖を知って、みんなが遠慮するのに、自分だけは平気で、こんな場合に、叔父の言葉通り断行して顧みない叔母の態度は、お延にとって羨ましいものであった。また忌わしいものであった。女らしくない厭なものであると同時に、男らしい好いものであった。