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めいあん

明暗

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《明暗(めいあん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,590 字 · 645 頁

青空文庫

「それでどうしたの」

「それでこうなんだ。男と女は始終引張り合わないと、完全な人間になれないんだ。つまり自分に不足なところがどこかにあって、一人じゃそれをどうしても充たす訳に行かないんだ」

お延の興味は急に退きかけた。叔父の云う事は、自分の疾うに知っている事実に過ぎなかった。

「昔から陰陽和合っていうじゃありませんか」

「ところが陰陽和合が必然でありながら、その反対の陰陽不和がまた必然なんだから面白いじゃないか」

「どうして」

「いいかい。男と女が引張り合うのは、互に違ったところがあるからだろう。今云った通り」

「ええ」

「じゃその違ったところは、つまり自分じゃない訳だろう。自分とは別物だろう」

「ええ」

「それ御覧。自分と別物なら、どうしたっていっしょになれっこないじゃないか。いつまで経ったって、離れているよりほかに仕方がないじゃないか」

叔父はお延を征服した人のようにからからと笑った。お延は負けなかった。

「だけどそりゃ理窟よ」

「無論理窟さ。どこへ出ても立派に通る理窟さ」

「駄目よ、そんな理窟は。何だか変ですよ。ちょうど藤井の叔父さんがふり廻しそうな屁理窟よ」

お延は叔父をやり込める事ができなかった。