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めいあん

明暗

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《明暗(めいあん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,590 字 · 645 頁

青空文庫

その不満が、何か事さえあると、とかく彼女を京都にいる父母の味方にしたがった。彼女はそれでもなるべく兄と衝突する機会を避けるようにしていた。ことに嫂に気下味い事をいうのは、直接兄に当るよりもなお悪いと思って、平生から慎しんでいた。しかし腹の中はむしろ反対であった。何かいう兄よりも何も云わないお延の方に、彼女はいつでも余分の非難を投げかけていた。兄がもしあれほど派手好きな女と結婚しなかったならばという気が、始終胸の底にあった。そうしてそれは身贔負に過ぎない、お延に気の毒な批判であるという事には、かつて思い至らなかった。

お秀は自分の立場をよく承知しているつもりでいた。兄夫婦から煙たがられないまでも、けっして快よく思われていないぐらいの事には、気がついていた。しかし自分の立場を改めようという考は、彼女の頭のどこにも入って来なかった。第一には二人が厭がるからなお改めないのであった。自分の立場を厭がるのが、結局自分を厭がるのと同じ事に帰着してくるので、彼女はそこに反抗の意地を出したくなったのである。第二には正しいという良心が働らいていた。これはいくら厭がられても兄のためだと思えば構わないという主張であった。