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めいあん
明暗
線上閱讀夏目 漱石《明暗(めいあん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,590 字 · 645 頁
彼は煙草へ火を点けようとして枕元にある燐寸を取った。その時袖畳みにして下女が衣桁へかけて行った袍が眼に入った。気がついて見ると、お延の鞄へ入れてくれたのはそのままにして、先刻宿で出したのを着たなり、自分は床の中へ入っていた。彼は病院を出る時、新調の※(「糸+慍のつくり」、第3水準1-90-18)袍に対してお延に使ったお世辞をたちまち思い出した。同時にお延の返事も記憶の舞台に呼び起された。
「どっちが好いか比べて御覧なさい」
※(「糸+慍のつくり」、第3水準1-90-18)袍ははたして宿の方が上等であった。銘仙と糸織の区別は彼の眼にも一目瞭然であった。袍を見較べると共に、細君を前に置いて、内々心の中で考えた当時の事が再び意識の域上に現われた。
「お延と清子」
独りこう云った彼はたちまち吸殻を灰吹の中へ打ち込んで、その底から出るじいという音を聴いたなり、すぐ夜具を頭から被った。
強いて寝ようとする決心と努力は、その決心と努力が疲れ果ててどこかへ行ってしまった時に始めて酬いられた。彼はとうとう我知らず夢の中に落ち込んだ。
百七十八
朝早く男が来て雨戸を引く音のために、いったん破りかけられたその夢は、半醒半睡の間に、辛うじて持続した。