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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

「大層なことだな、――ところで、お前がここへ奉公して何年になる」

「たった二年で――まだあの土蔵の中へも一人では入れてくれません」

「板倉屋は抜け荷を扱っているという評判を聴いたが――」

「飛んでもない親分、そんなことがあるもんですか」

「ところで、お前はなにか知ってると思うが、例えば棟梁の佐太郎が死んだ晩、酒の燗は誰がつけたんだ」

「主人は酒がやかましくて、決して人に燗を任せませんでした」

「呑み残した酒は調べたことだろうな」

「毒死でないと決ったので、残った酒はみんなで頂いてしまいましたが、中毒を起したのは一人もありません。――もう十二三日の前のことですが」

忠助のいうことにはなんの不思議もありません。

「ところで、お萩の行方不知になった時、なにか変ったことに気がつかなかったか」

「なんにも気が付きません」

「昨夜、主人が外へ出た後で、お前は裏木戸を覗いたそうだが――」

「それを申上げようかどうしようか、迷っておりました」

忠助は額を揉み込むように、ひどくいい渋っておりました。

「ともかくいってみるがいい。主人が死んだという大事な時だ、つまらねえ遠慮をして、下手人を逃がしてはなるまい」