輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁

青空文庫

そんな恐しいことがあっていいだろうか。いや、人類の好くと好かないとにかかわらず、現にモロー彗星は、刻々地球に追っているのだ。

「助かる方法はないでしょうか、博士」

蟻田博士は、だまって、鉛筆で、白い紙のうえを叩いている。

「ねえ、博士。モロー彗星のため地球がぶち壊されても、何とかして、我々人類が助る方法はないものでしょうか」

「ないねえ。絶対に助る手はない」

博士は、他人のことのように言う。博士はどうなるのか。博士だって、やはり人類である以上、一しょに死ぬのではないか。それとも、自分だけは助るつもりであろうか。

「先生は、生命を全うされますか」

「いや、むろんわしも死ぬさ」

博士は、新田め、何をわかりきったことを聞くのだと、言いたげな顔であった。

新田先生の最後の頼みの綱も、ついに切れた。先生は、千仭の断崖から、どんと下へ突落されたように思った。もう立っていることが出来ないほどだった。

(だが、――)

と、新田先生は、その時口の中で言った。

(だが、万物の霊長たる人間が、そうむざむざと死滅してなるものか!)

人間というものは、どうにも、もういけないときまった時に、不思議にも、それをはねかえす力が出て来るものである。