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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁

青空文庫

と、千二少年は、はやる気をおさえ、二、三回おなかをふくらませたりまた引込ませたりした上で、天狗岩の鼻先に腹ばいになった。そうして下を向いて淵をのぞきこんだが、何だか、ぶつぶつと泡の立つような音がするだけで、何にも見えない。そこで彼は、また懐中電灯をつけて、はるかの水面に光をあてて見た。

「やっぱり、なにも見えやしないや」

見えるのは、十メートルほど下に淀んでいる黒い水面ばかりであった。しかし彼は、そのままの姿勢で、しばらくはこの黒い水面をじっと見つめていた。

そのうちに、彼はとつぜん身近に、ひゅうひゅうという妙な音を聞いた。

すわ!

千二は、びっくりして、その場にぱっと身を起した。

とつぜん耳にしたところの怪音。ひゅうひゅう、ひゅうひゅうと、鞭かなんかを振るような音だ。その音なら、さっきも、彼はたしかに自分の耳で聞いたのである。あのうす桃色の怪物体が、天狗岩のうえに下りて来たあの時に。

ひゅうん。

いきなり、千二の耳もとに、怪音が聞えた。

「あ、痛っ」

何者かが、ふいに、千二の持っていた懐中電灯を叩きおとした。

「だ、誰だ」

千二は、身近くに、誰かがいるなどとは、想像しなかった。