輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁
なんとなくうまそうでいて、そしてむかむかするにおいだ。
におったことのない妙なにおい!
それも道理であった。これこそ、火星の生物の汗のにおいであったのだ。火星の生物の汗のにおいが、その部屋一ぱいに、みちていたのである。
はじめ千二は、ちょっといいにおいだと思ったけれど、間もなく胸がむかむかしてきた。それほどいやらしいにおいであった。
そのとき、ぎーぃと音がして、誰かが近づいた気配である。
千二は、ぱっと眼をひらいた。それまで千二は、正気にかえったとはいうものの、ぐったりして眼をつぶって、ただ鼻ににおいだけを感じていたのだった。
「おい君、いま元気にしてやるぜ」
うす桃色の湯気の中から、とつぜん、この言葉が聞えたのである。
「えっ」
千二少年は、その方を見た。
湯気は、もうもうと渦を巻いていた。その向こうに、何者か立っている。ぼんやりと、頭のかっこうのようなまるいものが見えた。
「だ、誰?」
千二は、まるい頭のようなものに、声をかけた。
「誰でもない。おれだよ」
湯気の中から、ぬっと姿をあらわした者があった。
頭には、つばの広い、黒い中折帽子をかぶり、そうして同じ黒い色の長い外套を、引きずるように着た大男であった。