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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁

青空文庫

「人間には、もうこりごりだよ」

と、蟻田博士はぶっきらぼうに言った。

新田先生は、これ以上博士を動かすことは出来ないと知って、涙が出た。

新田先生は、どうかして、蟻田博士の心を直し、地球人類のために博士のすぐれた智力を出してもらおうと、永らくつとめて来たのであるが、今度という今度は、先生も、さじをなげてしまった形であった。

(だめだ。蟻田博士こそ、人間の形はしているが、心は人間ではない。博士は、心を火星人などに売ってしまっているのであろう。すると、博士はまず鬼だと言ってよろしかろう。そういう博士の心を、自分の手で、何とかいい方へ直せると思っていたのは、たいへんばかだった!)

新田先生は、そう思って、顔をつたって落ちるくやし涙を、とどめることが出来なかった。

「博士、私はいよいよ博士にお別れして、ここを出ていきます」

先生は、ついにそう言った。もうこんな所にとどまることは出来ない。いくらここにいても、むだである。博士は、地球人類のために力を貸そうとはしないのである。

「今になって出ていくか。いよいよこの恩知らずめが!」

博士は、口ぎたなく先生をののしった。