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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁

青空文庫

先生のお父さんやお母さんや、それから、しんるいの方もお友だちも、たくさんいらっしゃるのでしょうが、もう、こうなっては、しかたがないではありませんか」

「うむ。――千二君に慰めてもらおうとは、思っていなかったよ」

と、新田先生は、顔をあげて、のどを、ごくりと鳴らした。

「いや、もう、悲しまないよ。今、もう地球のために悲しみじまいだと思って、最後の悲しみを味わっただけさ」

と、先生は、涙をはらい、

「しかし、今にして私たちは、日頃勉強の足りなかったことを、しみじみと感じる。地球の上に、蟻田博士のような学者がもう一万人――いや一千人でも五百人でもいい、それだけの学者がそろっていて、そうして思う研究がやれたら、わが地球は、火星に襲撃されたり、モロー彗星につきあたられたりしないで、よかったんだ。きっと、それを防ぐ手があったに違いない」

あと二十四時間後に崩壊し去るであろうところの地球の姿を、新田先生と千二少年とは、しばし無言のまま眺めつくした。

あの美しいまん丸なすがたも、今しばらくのことである。また、今この大空艇からは、光る地球の面に、アジヤ大陸の一部が、ぼんやりとした輪郭を雲間から見せているが、あのあたりに、祖国日本の国があるのだ。