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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁
「そうねえ」
と梶子も苦笑いをした。
「ほんとに変な運命だよ。……でも以前とおんなじじゃないか。……お前さんがあたしの用心棒として、いつもいつもあたしのお供をしていた頃と……」
「なるほど、そういえばそうですなア」
「異うところは心持ちだけさ。ね、お互いの心持ちだけさ」
「…………」
「以前はあたしの用心棒として、あたしにただただ忠実だった人が、今じゃア半分敵のようになって、あたしの体をどうしようとか、あたしの大事な民弥さんを、討とうとか殺そうとか考えている。――というだけの違いなのさ」
「が、人形の胸の中から出て来た、黄金島の一件については、お互いに協力いたさねば……」
「そうだねえ、あの件については、協力しなければならないだろうよ」
「一緒に秘密を知ったのですからな」
「だから一緒に探しに行こうよ。魚屋助右衛門の遺産というやつをね」
「人形箱をああして置いて、はたして大丈夫でありましょうかな」
三十郎は少し不安そうに云った。
あの家の押し入れへ入れたままで、二人は無造作に出て来たからであった。
「姉小路様御用と表書きしてあるよ、誰だって手なんかつけやアしないよ」
「なるほどこれはごもっともで」