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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁
以前から民弥が父の敵として、刃三十郎という浪人者を、探しているということを、鵜の丸兵庫は聞いていた。
そこで驚いてそう訊いたのであった。
「さようでござるさようでござる! この人間こそ刃三十郎と申し、拙者の父を討ち取ったる悪漢! 尋ねあぐんでおりましたが、先方より飛び込んで参りましたは、まことに天の与うる幸い!」
「欣快! しからば拙者は助太刀!」
「妾も妾もお助太刀を!」
幾腰となく用意してある刀を、手早く押入れより引き出すや、菊女は抜きそばめて庭へ飛び下りた。
取りかこまれた三十郎、ほとんど進退きわまったが、そこは図太い悪侍であった、がばとばかりに大地に仆れ、
「斬れ! 殺せ! さあさあ斬れ!」
この命の瀬戸際にあたって、大地へ仆れてふんぞりかえり、斬れ殺せと怒鳴っているのである。
大胆不敵の三十郎の態度に、さすがの兵庫も民弥も菊女も、気を呑まれて茫然とした。
得たりとばかりに三十郎は怒鳴った。
「さあ斬れ殺せ嬲り殺しにしろ! こうやって仆れている以上、俺は死骸と同じようなものだ! 死骸を斬ったらさぞ名誉、――名誉の敵討ちとなるだろうよ! さあ殺せ殺してくれ! ……いかにも俺は刃三十郎だ! 松浦氏の父親を殺した、その刃三十郎だ! そうして俺はいつぞやの晩、入谷田圃でそこにいられる鵜の丸氏とやらと太刀を合わせ