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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 183,656 字 · 363 頁

青空文庫

獅子舞

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獅子舞

獅子というものも甚だ衰えた。今日でも来るには来るが、いわゆる一文獅子というものばかりで、ほんとうの獅子舞はほとんど跡を断った。明治二十年頃までは随分立派な獅子舞いが来た。まず一行数人、笛を吹く者、太鼓を打つ者、鉦を叩く者、これに獅子舞が二人もしくは三人附き添っている。獅子を舞わすばかりでなく、必ず仮面をかぶって踊ったもので、中にはすこぶる巧みに踊るのがあった。かれらは門口で踊るのみか、屋敷内へも呼び入れられて、いろいろの芸を演じた。鞠を投げて獅子の玉取りなどを演ずるのは、余ほどむずかしい芸だとか聞いていた。

元園町には竹内さんという宮内省の侍医が住んでいて、新年には必ずこの獅子舞を呼び入れていろいろの芸を演じさせ、この日に限って近所の子供を邸へ入れて見物させる。竹内さんに獅子が来たと云うと、子供は雑煮の箸を投り出して皆んな駈け出したものであった。その邸は二十七、八年頃に取り毀されて、その跡に数軒の家が建てられた。私が現在住んでいるのは其の一部である。元園町は年毎に栄えてゆくと同時に、獅子を呼んで子供に見せてやろうなどと云うのんびりした人は、だんだんに亡びてしまった。