輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 183,656 字 · 363 頁
さすがに新年早々はどこの店でも門松を立て、国旗をかかげ、回礼者の往来もしげく、鉄道馬車は満員の客を乗せて走る。いかにも春の銀座らしい風景ではあるが、その銀座の歩道で、追い羽根をしている娘たちがある。小さい紙鳶をあげている子供がある。それを咎める者もなく、さのみ往来の妨害にもならなかったのを考えると、新年の混雑も今日とは全然比較にならない事がよく判るであろう。大通りでさえ其の通りであるから、裏通りや河岸通りは追い羽根と紙鳶の遊び場所で、そのあいだを万歳や獅子舞がしばしば通る。その当時の銀座界隈には、まだ江戸の春のおもかげが残っていた。
新年の賑わいは昼間だけのことで、日が暮れると寂しくなる。露店も元日以後は一軒も出ない。商店も早く戸を閉める。年始帰りの酔っ払いがふらふら迷い歩いている位のもので、午後七、八時を過ぎると、大通りは暗い街になって、その暗いなかに鉄道馬車の音がひびくだけである。
今日と違って、その頃は年賀郵便などと云うものもなく、大抵は正直に年始まわりに出歩いたのであるから、正月も十日過ぎまでは大通りに回礼者の影を絶たず、昼は毎日賑わっていたが、日が暮れると前に云った通りの寂寥、露店も出なければ散歩の人も出ず、寒い夜風のなかに暗い町の灯が沈んで見える。