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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁

青空文庫

も出来ずにもがいて居る時を狙って、金太郎の刀――長い方を取って思う存分尻から突いた」

「ひどい野郎ですね」

「綱の始末をする時、幹助は裏木戸の鍵をどうして手に入れたか、そればかりはわからないが、多分昼のうちに錠前へ仕掛をして、与茂吉が鍵を掛けたつもりでも、実は掛からないように細工をして居たのかも知れない」

「ヘェ?」

「もう聴くことは無いのか」

「あの娘はどうなるでしょう」

「気がもめるか、八」

「少しはね」

「きりょう自慢も、あそこまで行くと怖いよ、娘の綺麗なのは嬉しいことだが、江戸一番になり度かったり、五人も六人も夢中になり手を拵えたりするのは、浅ましい事だな」

「一番馬鹿を見たのは養子の与茂吉で」

「いや、あれは馬鹿じゃないよ、お艶の逆上がさめて、尋常な娘になるのを待って居たんだ。悪く賢い男だよ」

「ヘェ?」

「一番気の毒なのは和泉屋の倅嘉三郎さ、恋患いの仮病なんてものは、ゴロ/\寝て居るんだから、楽なようだが、本人にして見れば、ハタで見たほど楽じゃあるめえ」

「それじゃあっしも、恋患いだけは止しましょうよ、――ちょいとやり度い気になることもあるが――」

面白そうに笑う八五郎です。