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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁
お園の家とは隣路地の背中合せで、急造の舞台はその間に挟まって空地を塞いで居るのです。平次は狭い路地を入って行くと、
「ブル/\畜生奴、ひどい事をしやがる」
飛出して来た八五郎と、鉢合せしたようにハタと逢いました。
「どうした、八」
「どうもこうもありゃしませんよ、この通り」
八五郎の髷から肩へかけて、ひどく濡れて居るではありませんか。
「夕立は半刻も前に上った筈だが――」
「水をブッ掛けられたんですよ。飛んでもねえ女だ。犬がつるんだんじゃねえやい」
「其処で啖呵を切ったって物笑いになるだけよ。どうしたというのだ」
「親分の言い付けられた通り、お組の留守を狙ってあの家へ忍び込んで見ましたよ。あの女の家の中に、夕立でズブ濡れになった着物があれば、先ず間違いもなく、お園殺しの下手人だ。ツイ夕立の来る前まで、お園と掴み合いをした女だ。それ位の事はあるに違えねえと思ったが――」
「あったか」
「ありませんよ、濡れた足袋一足ありゃしません――だからあの女は気が強くなってお園の仏様の世話をして帰ると、風呂場にマゴ/\して居るあっしを見つけて、いきなり手桶の水を一パイ、頭からブッ掛けて――泥棒――はひどいでしょう」