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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁

青空文庫

」

「どれ/\」

手に取って見ると、柄に籐を巻いた古い剃刀で、峰が殆んど無くなるほど磨り減らしてありますが、その代り使い込んだ品で、切れ味は非凡らしく見えます。

「これは、誰の道具でしょう」

平次は改めてその剃刀を女主人に見せました。

「品吉の剃刀ですよ、あの人は髯が剛いから、外の剃刀ではいけないんだと言って居ましたが」

「――」

「呼びましょうか」

「いや、あっしが参ります」

平次は起って、店の方へ――。

廊下の暗がりで、ハタと逢ったのは、十七、八のこれもまた美しい娘でした。後で佐渡屋の総領娘で、品吉と婚合せることになって居るお絹とわかりましたが、平次と母親の話を何んか気になる節があって、娘だてらに盗み聞きして居た様子でした。

平次の顔を見ると、ハッと立ち縮みましたが、やがて女でなければ用意しない、不思議なさり気ない態度で、摺り抜けるように、バタ/\と母親の部屋へ駆け込んでしまいました。

「八、もう一人岡惚れの人別帳に書入れが増えたろう」

「驚いたね、どうも、色は浅黒いがキリリとした良い娘ですね、あんなに綺麗なのが揃って居ちゃ、涼み櫓位が落ちても不思議は無くなりますよ、もう二三人死ななきゃいいが――」