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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

佐兵衛にくれぐれも頼まれて、平次はぼんやり外に出ました。

「親分」

「何だ、ガラッ八か」

「三輪の親分が、あの綺麗な娘を縛って行ったんだってネ、罰の当った野郎じゃありませんか」

「何をつまらない」

「だってそうじゃありませんか、自分が殺した覚えがあるものなら、翌る日も同じ時刻に、重詰の小風呂敷包なんか持って、馬道まで行きゃアしません」

「…………」

「それに、馬道から“浅草橋まで行くうち、あの娘が後ろを振り向いて見なかったか”って親分が訊きなすったが、あれはなるほど図星だ、後ですっかり恐れ入ったぜ、後ろ暗いところのある人間なら、後も振向かずに帰るってことはない。――ひょいと、これだけの事を考えるんだから、親分の胸は大したものだ」

ガラッ八は首を傾げたり、鼻の先を撫でたり、独りで感心しております。

「それだけ判りゃ、手前も一本だ。八丁堀へ飛んで行って、笹野の旦那にそう申上げてみるがよい。お嬢さんはその場で縄を解かれるから――」

「親分は?」

「俺は他に用事もあるから、もう一度この家の支配人に逢ってみる」

「有難え、あっしの口一つで許される段取りになると、手もなくお嬢さんの恩人だね」