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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

とおどかしておきました。

四日目の夕方帰って来た平次は、ゲッソリ痩せて、眼の縁まで黒くしておりましたが、それでも恐ろしい元気で、久し振りで徳三郎を町の銭湯へ出すと、狭い庭へ縁台を持出して、そこへ煙草盆まで取寄せました。もう月見近い頃、涼みは時候外れですが、平次はそんな事を考えている様子もありません。

「風を引きますよ、そんな吹き通しにいなすっちゃ」

と言うお静の母へは、

「いや、頭が冷えて何とも言えない、それに、今日は十八日だろう、こうしているうちにお月様が出るよ」

紺の匂うような地味な袷、黒っぽい帯をしめて、引っきりなしに煙草を詰めては、灰吹を叩いておりますが、なるほど、そうしていれば頭の芯まで冷えるでしょうが、その代り、月の出には、まだ少し間がありそうです。

不意に、

「エッ」

と恐ろしい気合。

「曲者ッ、逃げるなッ」

平次の声が凜と響きます。

「野郎ッ、逃がすものか、銭形の親分の一の子分、八五郎の腕っ節を知らないかッ」

外、抜け路地では、大変な組打ちが始まった様子。

「ガラッ八、逃がすな、今行くぞ」

植込みを潜って出た平次、上になり下になり争う人影を見定めて近づくと、