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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

番所へつれて行って、存分に引っ叩け」

「あッ、御勘弁、お許し下さい。申します、みんな申上げます」

玄々斎は畳に額をすり付けました。四十前後の、顔も恰幅も立派な男ですが、亡者には睨みがきいても、銭形の平次を誤魔化しようはなかったのです。

「よし、正直に言うなら、縄だけは勘弁してやる、次第によっては、御慈悲を願ってやらないものでもない。どんな目論見があってあんな大それたことを言ったんだ」

「済みません、実は、鳴子屋の久太郎さんに頼まれました」

「何?」

あまりの予想外な言葉に、平次もガラッ八も驚きました。

「久太郎さんがやって来て、――奉公人の給料を払わないばかりでなく、養子と姪の祝言の入費さえ出し渋る叔母に、何とか目を覚さしてやりたい、頼むから慈悲善根を施さなければ、七日経たないうちに死ぬと言ってくれ、叔母はこの世の中で、お前の言う事だけを本当にするから――とたってのお頼みでした」

「それを引受けたのか」

「ヘエ――、人助けのためと思いまして」

「…………」

人助けのために、何かするような人間ではありませんが、平次はともかくも、その言葉に堪能したものらしく、ガラッ八を促して、宵の街を中橋まで引返しました。