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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
「久太郎が下手人で?」
「いや、久太郎じゃない、――俺はつまらない事に気が付かずにいたんだ。今日はひとつ品川まで行ってみよう」
「ヘエ――」
平次は急に仕度をすると、ガラッ八をつれて品川まで歩きました。日本橋から二里、平次と八五郎の達者な足で飛ぶと、たった一刻で着いてしまいます。
宿外れの鶴屋という旅籠屋の暖簾をくぐると、平次はいきなり番頭を呼出して、五日前の晩の、浜町の江の島詣りの連中のことを訊ねました。
「大層なお元気でございました。このまま江戸へ入っちゃつまらないからと、若い方々が無理にお泊りになったようで、ヘエ、お人数は十七人で」
「皆んなここへ寝たわけじゃあるまい」
と平次。
「それはもう、若い方でございます。一度は皆んな土蔵相模へお出でになりまして、そのうちでもお年を召した方が、大引け過ぎに半分ほど手前どもへお帰りになりました」
「誰と誰が土蔵相模へ泊ったか解るまいな」
「さア、それは、十人ほどもお泊りでしたから、ちょっと解り兼ねますが――」
それ以上は番頭にも解りません。
「気の毒だが、その晩出した貸し褞袍を見せてくれないか、――どうせ旅装束で土蔵相模へ行ったわけじゃあるまい」