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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
「大きな声だぜ、――そっと言ってくれ、町内へ触れを廻すには早え」
平次はそう言いながらも、この報告をどんなに待ち兼ねたことでしょう。
「白石屋半兵衛――こいつに間違いはねえ」
「なるほど、それが赤井市兵衛の変名だったのかい」
「三年前にこの町内へ来て、米、油問屋の古い暖簾を居抜きのまま買ったんだ、その代金が七百五十両」
「なるほど」
「武家出だそうで、商売は番頭任せ、五十五六のまだ達者な身体を持て扱って、好き放題に日を暮している。白石屋というから、奥州の白石に縁があるのかと思ったら、それは先代から買った暖簾名で、当人は心持西国訛があるというのも面白いじゃありませんか。ね、親分、こいつが曲者でなかった日にゃ、あっしも十手捕縄返上だ」
八五郎はすっかり意気込みます。
「つまらねえものを流行らかすなよ、――ところで女房子は?」
「女房はお吉といって三十七八、こいつは商売人上がりらしい代物だ。おしゃれでおしゃべりで、お先っ走りだが、人間はあんまり悧巧じゃねえ。一年ぐらい前から来ている姪のお雪は十九で、これは品のいい綺麗な娘、番頭の喜助は四十五六の手堅い男、手代の文三郎は店へ来て一年そこそこにしかならないが、男っ振りも評判も無類だ。