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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

ギヤマンに入れた何とも言えねえ匂いの飲物でしたよ、一と口に飲むと、またウトウトと眠ってしまったと思うと――」

「それからどうした」

「元の東両国の祈祷所で眼が覚めましたよ」

「時刻は?」

「朝陽が障子へカンカン当っていましたよ。あっしはあわてて飛起きると、真っ直ぐにここへ飛んで来ましたが、緋の袴をはいた女の子が二三人、ケロリとして祈祷所の中を掃除していた様子でした」

「フーム」

「親分の前だが、あんな結構なお宗旨はありませんよ。もう一度行きてえが、さて五両の工面がつかねえ」

「とにかく、祈祷所へだけは、当分顔を出すがいい。五両の工面が付いたら、もう一度ぐらいは面白い夢を見さしてやるよ」

平次はそんな事を言いながら、深々と考えているのです。

「それから何をやらかしゃいいんで――」

とガラッ八。

「石原の兄哥のところの、お品さんに、済まねえがちょいとここへ来て下さるようにってそう言ってくれ」

「ヘエ――」

ガラッ八は魂の抜けた人間みたいに、フラフラと本所へ行ってしまいました。

それから二た刻あまり、石原の利助の娘――女御用聞と言われるお品が顔を出したのは、もう昼過ぎでした。