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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁
「親分さん、た、大変なことになりました。すぐお出で下さるように――と、金之丞様からのお願いでございます」
六十年輩の爺や――遠州屋の仁助というのが飛込んで来ました。
「大変なことと言うと、金之丞という好い男が怪我でもしたのかい」
とお先っ走りのガラッ八。
「いえ、お内儀さんが花火を見ていなすって、屋根の上の物干から落っこちなすったんで――」
「それじゃ外科へ行くがいい。親分の畠じゃねえ」
「手摺を越して落っこったのが不思議でならねえと、金之丞様が申しますんで――」
「何? 手摺を越して落ちた、――怪我は?」
平次はもう立ちかけております。
「お気の毒なことに金之丞様が駆け付けて、いろいろ介抱なさいましたが、軒下に積んだ石材に頭を打ちなすって――」
「そうか、――そんなこともあるだろう。遠州屋には悪いことが起りそうだと思って、この二三日気を付けていたが、とうとうやりやがったか。八、大急ぎで行ってみよう」
「ヘエ――」
三人は宙を飛びました。いや、二人は宙を飛んで、一人は大地を這ったと言った方が穏当かもわかりません。とにかく、平次とガラッ八が横山町へ着いた時は、遠州屋の上下は、圧迫された恐怖が、不気味に立ちこめて、その辺に居る者を皆んな窒息させてしまいそうでした。