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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁

青空文庫

平次は改めて静かに問いかけます。

「女の四十二三と申しますと、よく頭痛や眩暈に悩まされる年頃で、お内儀さんもよく立ち昏みがすると申しておりました」

「そんなこともあるだろうね。ところで、お内儀さんが落ちた時、声を出したはずだが」

「それはよく聞えました。あッと言うと、ドシン、と来ましたので、何をしたのかと縁側へ飛出すと、向うの縁側から、六さんが顔を出しておりました」

「声はたった一度きりだね」

「いえ、下へ落ちてからもまた、きゃっと言ったようで」

「その通りだね、金之丞さん」

平次は後ろにしょんぼり立っている金之丞を振返りました。

「ヘエ、落ちる途中で、声を出したかもわかりません。とにかく、私が聞いたのはたった一声だけで、驚いて母家から飛出して抱き起すと、もういけませんでした」

「有難う、それじゃ、物干を見せて貰いましょう」

平次とガラッ八は、縁側へ出ると、戸袋の後ろに取付けた段々を幾つか昇って、思いの外岩乗な物干に出ました。

屋根の端っこまで乗り出した造りで、下までは三間足らずでしょう。三方にめぐらした手摺はちょうど大人の腰の下まで届くほど、眩暈がしたくらいでは、これを乗り越して下へ落ちそうな様子はありません。