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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁
「仏様は少し嫌だな、まあいい、ところで何の用事で拙者の後を跟けた、返答によっては許さんぞ」
「決して旦那の後を跟けたわけじゃございません。先刻旦那の前へ行った、あの綺麗な新造が、どこへ行くかと思って、ちょいと、その――」
「馬鹿野郎」
「ヘエ――」
「お前のような馬鹿がいるから、若い娘が一人歩きも出来ないのだ。今日だけは見逃してやる、さっさと帰れ」
「ヘエ――」
ガラッ八は全くさんざんな敗北でした。二三町スッ飛んで、浪人者が路地の中へ消えるのを待って、近所の酒屋で聞いてみると、白川鉄之助という九州辺の浪人者で、大した金持という訳ではありませんが、生活には困らないらしく、別に仕官の途を求めるでもなく、毎日ブラリブラリと遊んでいるということでした。
「あの浪人者は、手習子を集めて、師匠をしているでしょうね」
「いいえ、そんな話は聞きませんよ。身寄りも知辺もない一人者で、時々ブラリと外へ出るほかは、珍糞漢糞な本ばかり読んでますよ」
「しめたッ」
ガラッ八は、それだけ聞くと、横っ飛びに徳蔵稲荷へ駆け付けました。娘を見失ったのは、何といっても大失策に相違ありませんが、その代り、あの浪人者を手習師匠と鑑定した、親分平次の失策も掴んだのです。