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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

その結納金が三千両、江島屋からは確かに出したと言い、ここへ着いたのは箱に詰めた砂利で、纏まりかけた縁談も滅茶滅茶、その噂を聞くと大川原五左衛門は、早速貸金の抵当にお関をよこせと乗込んで来る始末だったのです。

「三つの千両箱はどこで誰が受取ったんだ」

平次は第一問を発しました。

「店で私が受取り、手代や小僧に奥――と申してもこの部屋より外にありません。――ここへ運ばせて、御仲人の佐野屋さん御夫婦、それに江島屋の番頭の太兵衛さんに一杯差上げ――」

「その間、千両箱は」

「その床の間に置いて、四人の眼で見張っておりました」

「ちょっとも眼を離さなかったろうな――手水に立つとか、何か」

「そんな事はございません。すぐ千両箱を開けて中味を見るのも、ガツガツしているようでたしなみが悪いと思い、四半刻(三十分)ばかり経って、汗も乾き、心持も落着いたところで、四人立会いのうえ開けてみました」

常右衛門はゴクリと固唾を呑みます。

「すると、中は砂利が一パイ詰まっていたというのだろう」

「左様でございます」

「店からここへ持って来るとき、小判にしては軽いと気が付かなかったのかな」

「何分、皆んな夢中になっておりました。