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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

「…………」

「乙松様が、伊之助とお北を恋しがってむずかるので、夜中連れ出して、大根畑の伊之助の家を覗かせたこともある。が、その後伊之助はもう少し金が欲しくなり、残しておいた迷子札を持って、強請がましく御当家へ来たのを、後の禍を絶つため、後閑様が手に掛けた、それとも、石沢様かな」

「…………」

平次の明智は、一毫の曇りもありません。何から何まで、推理の上に築いた想像ですが、それが抜き差しならぬ現実となって、二人の用人の胆を奪ったのです。

「さア、どうしてくれるんだ。このお北には親の敵、名乗って尋常に勝負と言いたいところだが、せめて詫言の一つも言う気になったらどんなものだ」

平次の追及のますます猛烈なのを聞くと、後閑武兵衛は刀を納めました。

「平次とやら、いちいち尤も――その方の申すことは道理だ。金ずくで済まそうと思った私の浅薄さを勘弁してくれ」

「…………」

「この一埒は、私と石沢殿との考えたことで、殿様も奥方も御存じないことだ――両家の大事には代え難かった。許してくれ」

「後閑様、そうおっしゃるとお気の毒ですが、御大身の直参も御家が大事なら、左官の伊之助も自分の家や命が大事じゃございませんか」