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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁
助けようと思えばこそやって来たんだ、――隠さずに教えてくれ。第一番に訊きたいのは、今日は本当に誰も来なかったのか」
と平次。
「お稽古の休みは、なるべく人に来て貰わないようにしています。姉はあの通り、身体も心持も弱い人で、時々は一日のんびりと休まなきゃなりません」
とお文。
「お政が来たはずじゃないか」
「でも、それは勘定に入らないでしょう。殺された人ですもの」
「なるほど、そう言えばその通りだ」
平次は苦笑しました。その謎めいた言葉の真意は誰にも解りません。
「剃刀が今朝まで鏡台にあった――とお神楽の親分に申上げたのは、ありゃ間違いですよ。この二三日、誰も使った者がありません。今朝私が使ったのは、無くなった方のだと思ったのは間違いで、新しい籐も何にも巻かない剃刀の方でしたよ、親分さん」
お文は一生懸命でした。姉思いらしい一途さは、涙ぐんだ眼、わななく唇にも溢れます。
「それがいけないよ、――そんな拵え事を言うから、お寿が疑われるんだ。物事はありのままに言うに限る。無くなった剃刀が今朝まで使っていた品なら、それでいいじゃないか。下手人はどうせ巧みに巧んだ仕事だ。