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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁
お政の鏡の水銀はあんまり無傷で新しい。ギヤマン鏡の水銀は、とても五年と保たないものだ。不思議に思って、江戸でたった一軒の、和蘭物を修繕す家で訊くと、近頃ギヤマンの懐中鏡の水銀を貼り替えたのは、お寿じゃなくてお政だった」
一座の人々は、線香臭い中に、黙って顔を見合せました。恐ろしい沈黙の中を、平次の声だけが、低いながら凜々と響きます。
「涼み船から落ちたのも、お政の狂言だ。この時は一人ではどうにもならないので、浜名屋の又次郎にそれとなく頼んで、引揚げて貰った。――ずいぶん命がけの仕事だが、女が思い詰めると、それくらいのことは何でもない――。
お寿はだんだん世間から疑われて来た。が、まだ仕上げが出来なかった。そこで八五郎を手なずけて、沢山の証拠を見せ、お寿を疑わせるように仕向けさせた。が、――俺が一二日のうちに行く――と聞くと、その謀計がばれるのが怖さに、あわてて、取って置きの仕事に取りかかった――。
昨日お寿を訪ねて、顔を直す振りをして、剃刀とお寿の抜け毛を盗み出し、お寿へ無理にせがんで、途中まで送って貰った。時刻を測って、暗くなるのを見越しての仕事だ。