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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

「家はどこだい」

「鍋町の源助店で」

「いやな事だが、それも仕方があるまいな、行って見よう」

二人は鍋町へ引返しました。

源助店の路地の外に、ガラッ八を見張りに置いて、道軒の家へ潜り込んだのは平次たった一人。

それから一刻あまり、近所の思惑を憚りながら、平次は一生一代のいやな家捜しを続けました。

どこにも、血の付いた脇差も、小判の片らもありません。天井も、床下も、押入も、蒲団の中も見ました。

「ありませんか、親分」

ガラッ八はたまり兼ねて入って来ました。

「何にもないよ、浪人者にしては、念入りの貧乏だな」

「その仏壇は?」

「盗んだ金を、入口から見透しの仏壇へ入れて、御先祖様にお目にかける奴もあるめえ、――が待てよ、外の考えようもある」

平次はもう一度引返すと、仏壇の中を念入りに見た上、下の抽斗も嘗めるように調べました。

「おや?」

抽斗を抜いて、その奥へ手を突っ込むと、何やら指先に触れるものがあるのです。ズルズルと引出してみると、

「親分」

八五郎は思わず喊声をあげました。黄八丈の財布が一つ、扱いてみると、中から出たのは、数も百二十枚、昨夜女隠居が盗られたという小判に紛れもありません。