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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

「御用ッ」

そこには銭形平次が待っていたのです。

火のような格闘が一瞬庭に展開しました。曲者の脇差が、幾度か平次に迫りましたが、得意の投げ銭がそれを封じて、しばらく睨み合ううち、家の中から助太刀のガラッ八が、大音声と一緒に飛出して来たのでした。

*

大盗中江川平太夫は、平次と八五郎の手に召捕られ、その夜のうちに南の御奉行所仮牢に送られました。

娘――と称した、妾のお琴は、逐電して行方知れず。その後の取調べで、中江川平太夫は白虎の平太と異名を取った大盗賊で、三十代に傷寒を患って頭の毛は真っ白になりましたが、年はまだ四十そこそこ、ヨボヨボどころか恐ろしい体術の達人で、猿のように梁を渡り、庇を飛ぶ術を知っていたのです。

「驚いたね、親分。平太夫が泥棒と、よっぽど前から解ったんですかえ」

ガラッ八は絵解きが聞きたい様子です。

「自分の家へ泥棒が入ったと訴え出た時から解ったよ。智恵のある者は、自分の智恵に負けるのさ。あんな細工をしなきゃまだ判らずにいたかも知れないが――町内の物持が皆んなやられて、裕福と噂のある自分の家だけ無事では変だと思ったのだろう」