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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

杯盤を片付けた、柳橋の清川の大広間、二十幾基の大燭台に八方から照されて、男女十幾人の一座は、文句も不平も、大きな歓喜の坩堝の中に鎔し込んで、ただもう、他愛もなく、無抵抗に、無自覚に歌と酒と遊びとに、この半宵を過せばよかったのです。

遊びから遊びへ、果てしもない連続は、伴三郎にも倦怠でした。――何か面白いことはないか、と、褒美を懸けて考え出したのが、この頃の子供達がやる「眼隠し鬼」という、およそ通や粋とは縁の遠い遊びだったのです。

この遊びは刺戟的で馬鹿げていて、思いのほか皆んなを喜ばせました。鬼が危ない手付きで追い廻すと、伴三郎と直八とそれに幇間の左孝、芸妓大小取交ぜて十人あまり、キャッキャッと金魚鉢をブチまけたように、花束を砕いたように、大広間一パイに飛廻るのです。

中には、首っ玉へ齧り付かれたり、髪を毟られたり、わざと畳に滑って転げたり、きわどいことまでして見せました。板倉屋伴三郎は、それを苦り切った顔で、実は面白くて面白くてたまらない様子で見ているのでした。

雛妓達も客も芸妓も皆んな並べて、

「――いっちく、たっちく太右衛門どんの乙姫様は、湯屋で押されて泣く声聞けば、ちんちんもがもが、おひゃりこ、ひゃりこ――」