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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

平次の顔へ、目潰しに叩きつけて、その場から逃出そうとした者があったのです。

「野郎ッ」

咄嗟の間に飛付いたガラッ八、曲者の襟髪を手繰り寄せるように、後ろから羽交締にしました。

「神妙にせい、万吉」

平次の手は崩折れる曲者の肩へピタリと掛ります。

*

「親分、何だって、あんなに酔っ払った真似なんかしたんで?」

山崎屋から、万吉を引立てた帰り、ガラッ八はまた絵解きをせがみます。

「万吉とお染の顔色が見たかったのさ」

「お染には関係はないでしょう」

「大ありさ。隠居所へ自由に入るのは、お常と下女、それからお染の三人きりだ。万吉が忍び込んだんじゃ、隠居は目ざといからきっと声を立てる」

「ヘエ――」

「お染に肩を揉ませているうち、六十八の隠居は、年にも恥じず、若い娘にからかったのだろう」

「…………」

「物蔭から様子を見ていた万吉は、ツイかっとなって、飛込んで隠居を締めた。――日頃気に入らない事が多かったのだろう。親の代からこき使われて、ろくな事もしてくれない上に、近頃はお染を餌にして、無理な働きをさせ、いつまで経っても一緒にしてくれそうもない――」

「なるほどね」

「隠居を殺すと、穴倉に五千両の金がある事に気がついた。