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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

お絹は昨夜丑刻(二時)頃から暁方までの間に家を抜け出しましたが、外から誘われたのなら、誰か気が付かずにいるはずはありませんから、多分、自分から進んで出掛けたところをさらわれたのでしょう。

「親分、昨夜お前さんに打ち明けたのが悪かったのだ。娘に万一の事があっちゃ、私は生きて行く空もない」

一色道庵が、平次をつかまえて、怨みがましく言うのも無理のない事でした。

「ところで、玄関の上にブラ下げた瓢箪はありゃア何の禁呪です」

平次は妙なところへ気か付きました。

「…………」

「お娘さんがさらわれたので、丸薬の秘密が解けたという合図をなすったのじゃございませんか」

「…………」

「ね、それが悪いとは言いませんが、相手はどんな事をする気か、見当もつきません。大きい声では言えませんが、万一これが謀叛を企んでいるとしたら――」

「いえ、親分、そんな事はありません。あんな丸薬で謀叛も騒動も起せるわけはないし、それに、私にしては娘の命が何より大事でございます。黙って私をやって下さい、玄関へ瓢箪を出せば、その日のうちに迎えの駕籠が来ることになっております」

「行って丸薬の秘密を奪られた上、万一の事があったら?」