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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
「とんだ事ですね、――昨晩、一番後で逢った時は、どんな様子でした」
とガラッ八。
「寝んでおりましたが、――私が行くと眼を覚して、少し頭痛がするから、窓を開けてくれと申しました」
言葉少なに、窓を指します。
敷居に飛沫いた血潮は、大方拭き取ったようですが、まだ生々しく残って、何となくぞっとさせます。
窓の外は四間ばかりの空地を隔てて、乾物を積んで置く納屋の二階に面しておりますが、左右の木戸が狭いのと、空地一杯に商売用のガラクタで、三間梯子などを持ち込めないのは、たった一眼でわかります。その上窓の下は切立てたような壁で、這い上がるたよりもありません。
曲者が窓から入ったのでないことは、お浜の証言がなくとも、あまりに明らかです。
「この通りだ、見てくれ、八兄哥」
仙太は線香を一本上げると、片手拝みに近付いて、死体の上の白布を取りました。
「ウーム」
ガラッ八が唸ったのも無理はありません。恐怖に歪んだ勘次郎の死顔は、男が好いだけに一ときわ物凄く、少し左に寄った頸筋は、細目の出刃に割かれて、凄まじい口を開いているのです。
「どうだ、女や子供の力ではあるまい」
仙太はそう言いながらお清の顔を見ました。